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サッカーから学ぶイギリス英語の様々なアクセント

更新日:8月19日



英語の中でもイギリス英語とアメリカ英語が違うことはよく知られています。

しかし、実はイギリス英語の中にも様々な違いがあることはご存じでしたか?


この記事では、様々存在するイギリスのアクセントから代表的なもの6つを取り上げ、そのアクセントを話すサッカー選手や監督と共にご紹介します!





目次

  1. アクセントとは

  2. ①Cockney

  3. ②MLE

  4. ③Brummie

  5. ④Scouse

  6. ➄Northern Irish

  7. ⑥Scotish

  8. おわりに





アクセントとは


世界中で話されている英語ですが、その話され方には様々なバリエーションがあります。

このひとつひとつのバリエーションのことをアクセントと呼びます。

例えば、アメリカで話されている英語はAmerican accent、イギリスならBritish accent、オーストラリアならAustralian accentです。

日本語でいう方言や訛りのようなものだというイメージで問題ありません。


そして、これら国ごとの大まかな括りの中でもさらに細かいアクセントに分類できます。

特にイギリスは国内に様々なアクセントが存在し、その数は37とも言われています。

中には全く別の言語かのように聞こえるほど一般的な英語とは異なるものもあります。


これらのアクセントの違いは、主に地域や社会的な階級に由来します。

例えば、イギリス北部と南部では特徴が変わりますし、労働者階級出身の人と上流階級出身の人では話し方が異なります。


一方で、個人のアクセントは様々な外界の影響も受けて形成されます。

世代や所属するコミュニティ、さらには文化的嗜好など、周囲の人々が話す様々なアクセントによって自分のアクセントも変化することがあります。


そのため、それぞれのアクセントは必ずしも完全に明確に区分できるわけではなく、その差異はグラデーションになっています。

様々な背景によって同じ国民でも話し方が異なるのは面白いですよね。


以上のことを踏まえたうえで、ここからは具体的なイギリスのアクセントをいくつか見ていきましょう!





Cockney


Cockneyはロンドンの下町由来のアクセントです。


もともとはEast Endと呼ばれるロンドン東部の地域発祥で、比較的貧しく肉体労働に従事しているような人々の間で話され始めました。

現在では人々の移住が増加するにつれて、ロンドン全域や他の地域でも話されるようになりました。


Cockneyの特徴としては以下のようなものがあります。




①hを発音しない

/h/の音が脱落します。

例えばHelloは「ハロー」ではなく「アロー」のように発音されます。


②thがfになる

無声のthの音である/θ/が/f/になります。

例えばThinkだったら「フィンク」のような発音になります。


③tが脱落する

単語の真ん中や最後の/t/の音が脱落し、代わりに喉を塞いで一時停止することがあります。

これをGlottal Tと呼び、Cockneyだけでなく多くのイギリス英語において見られる特徴です。

例えばlittleは「リトル」ではなく「リオル」のように変化します。




イングランド代表キャプテンのハリー・ケインはCockneyを話します。

彼はあまりhの音は脱落させませんが、ThroughやGottaといった単語の発音をよく聞くと、「フルー」や「ゴア」のように言っていることがわかります。






MLE


MLEはMulticultural London Accentの略で、カリブ海などの地域からの移民コミュニティを中心に発展した比較的新しいアクセントです。


Cockneyなど様々なアクセントの影響を受けて形成されたため、複数のアクセントの特徴を寄せ集めています。

例えば、Cockneyと同じくthはfになり、Glottal Tも起きます。


他の特徴としては以下のようなものが挙げられます。




①thがdになる

ThisやThatのような有声のthの音である/ð/が/d/と発音されることがあります。

この場合、唇を歯と歯の間に挟むのではなく、カタカナと同じように「ディス」、「ダットゥ」と発音されます。


②thがvになる

/ð/は別の変化をすることもあります。

例えばBrotherは「ブラザー」ではなく「ブラヴァ―」のように、/ð/が/v/として発せられます。




アーセナルのブカヨ・サカなどがこのMLEを話します。






Brummie


Brummieはイギリス第2の都市バーミンガムのアクセントです。


イギリスの様々なアクセントの中でも比較的癖が強く、残念ながらイギリスで最も嫌われているアクセントとも言われています。


Brummieには以下のような発音の違いがあります。




/eɪ/が/aɪ/になる

dayやtakeといった単語の/eɪ/の音が/aɪ/のように発音されます。

この場合、「デイ」というよりも「ダイ」、「テイク」というよりも「タイク」のような発音に近くなります。


②/ə/が/æ/になる

語尾の/ə/が/æ/と変化します。

例えばplayerは①の特徴と合わせて「プレイヤー」ではなく「プライヤ」のように発音されます。




Brummieを話す代表的な選手はマンチェスター・シティのジャック・グリーリッシュです。






Scouse


Scouseはリヴァプールで話されているアクセントです。


他のイギリス英語とは大きく異なり非常に癖が強いため、慣れていないと聞き取りが難しいかもしれません。

以前リヴァプールに所属していた日本代表の南野拓実選手もこのScouseには相当苦労していたようです。


Scouseに特徴的な要素は多くあるため全ては解説できませんが、ここではその一部をご紹介します。




①tがtsになる

/t/の音に若干の/s/が加わり/ts/のように発音されます。

例えばteaは「ティー」ではなく「ツィー」のように聞こえます。


②/k/が/x/になる

BackやWeekなど、主に単語の最後が/k/の音で終わるときは、/k/は発音せず喉の奥を鳴らすような音を出します。

カタカナで表現するのは難しいですが、「バック」ではなく「バッハ」、「ウィーク」ではなく「ウィーヒ」のようになります。


③rが巻き舌になる

RightやGreatなどの/r/の音が巻き舌になります。

ただ、巻き舌と言ってもアメリカ英語のようになるのではなく、舌で上顎を叩くようにして発音されます。

こちらも文字で説明することには限界があるので、下の動画を見ていただいた方がイメージがつかめると思います。


④イントネーションが後ろに来る

一般的なScouseの特徴として、語尾に行くにつれてイントネーションが上がっていきます。

下の動画中盤でのSaudiのイントネーションはまさにその典型例です。




リヴァプールのレジェンドで現在スカイスポーツの解説を務めるジェイミー・キャラガ—は強いScouseアクセントを話します。

動画を少し見れば、明らかに彼のアクセントが普通の英語とは違うことがわかるのではないでしょうか?






Northern Irish


Northern Irishは北アイルランドで話されている英語です。


同じ島の隣国アイルランドのアクセントの影響を受け、イギリス本土の英語とはまた違った特徴を持っています。


以下がその主な例です。




①rが巻き舌になる

標準的なイギリス英語ではerやar、irなどのrの音は発音しませんが、Northern Irishではより巻き舌にして発音します。

アメリカ英語のrの発音に非常に似ているため、むしろ聞き取りやすいと感じるかもしれません。


②/aʊ/が/aj/になる

HowやNowなどの/aʊ/の音が/aj/のように変化します。

カタカナで表すと「ハイ」や「ナイ」に近く聞こえます。




リヴァプールやレスターを歴任し、現セルティック監督を務めるブレンダン・ロジャースはこのNorthern Irishを話します。







Scotish


最後に紹介するScotishはスコットランドで話されているアクセントです。


スコットランドは歴史的にイングランドとは異なる王国であったため、かなり癖が強く聞き取りが難解です。


Scotishと一括りに行ってもその中の地域によってまた発音は変化しますが、ここでは代表的なものとしてグラスゴー地域のアクセントの特徴をご紹介します。




①rが巻き舌になる

Scouseと同じように、/r/の音を舌で上顎を叩くようにして発音します。

スペイン語やイタリア語のrの発音と近いかもしれません。


②wがhwになる

WhyやWhatなどの頭の/w/の音の前にわずかに/h/の音が入ります。

そのため、「ワイ」や「ワットゥ」ではなく「フワイ」や「ホワットゥ」のように聞こえます。


③/ʊ/が/uː/になる

Scotishでは、短い/ʊ/の音が長い/uː/になります。

例えばpullとpoolは「プル」と「プール」ではなくどちらも「プール」のように発音されます。




元マンチェスター・ユナイテッド監督のアレックス・ファーガソンは非常に強いScotish訛りで話すことで有名です。

相当注意して聞いても全てを聞き取るのは至難の業ですよね。






おわりに


いかがでしたでしょうか?


一口に英語と言っても、イギリス国内でこれだけの違いがあることは驚くべきことですよね。


様々なアクセントがあることでリスニングがより難しく感じてしまうかもしれませんが、そんな違いがあることも英語と言う言語のひとつの魅力ではないでしょうか?

アクセントはその土地の歴史や文化を反映しながら、何世紀もの時間をかけて形作られ、今なお変化し続けているものです。

そんな伝統を話し方だけで感じることができるのは素晴らしいことだと思います。


皆さんもこれからはアクセントにより注意してみると、英語学習がより楽しくなるかもしれませんよ!

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